全仏

全仏

タイトル全仏
団体名全日本仏教会
所在地東京都港区
創刊年1954年
種別年4回発刊(第三種郵便物)

【主な内容構成】

 伝統仏教の連合組織である、公益財団法人全日本仏教会(略称・全仏)の定期刊行物である。同会の淵源は、1912年に内務次官の床次竹二郎の主唱により、教派神道・仏教・キリスト教の代表者が参集した「三教会同」を機に設立された、「仏教各宗派懇話会」に始まる。数次の組織変遷を経て、1954年に「全日本仏教会」が成立する。1957年に財団法人、2012年に公益財団法人となり、現在に至る。各宗派と都道府県仏教会、その他の仏教団体など、約100団体が加盟する。
 本誌は、1954年に『全仏通信』として創刊され、第125号(1967年5月発行)から現称となった。内容を見ると、まず目を引くのが、表紙の発行年は仏暦を使い、西暦が併記扱いになっていることである。主な記事は、全仏の会長や理事長のメッセージ、主催する全日本仏教徒会議やシンポジウム、各種の審議会・委員会の開催が報告され、政府への要望書や意見書の提出が伝えられる。災害支援にも力を入れ、救援基金の勧募と支援実績が見て取れる。世界仏教徒連盟(WFB)に加盟していることから海外仏教徒との交流や諸宗教との協力が窺い知れて、宗教法人が関わる法律や税務の相談コーナーは寺院にとって参考になる。
 本誌の編集は、全仏内の広報文化部が事務局となり、各宗派から選出された役員による広報委員会で諮問される。外部のジャーナリストが参加する論説委員会も設けられ、一般読者にも親しみやすい誌面作りを心掛けているのが分かる。特に、第636号(2018年1月発行)からは、毎号にて特定のテーマを設けて、寺院に関する今日的な諸課題のほか、人権や環境、災害や感染症、社会貢献などが特集として組まれる。その際には、テーマと関わる全仏の加盟団体に属する僧侶の取り組みや、外部の有識者からの寄稿が載る。
 全仏のウェブサイトでは、本誌のバックナンバーとともに、最新号を掲載している。それは、伝統仏教を中心とする仏教界が、急激に変化する現代社会に対応すべく、本誌を通じて自らの取り組みを積極かつ迅速に発信する姿勢を示そうとしているからといえよう。
【大澤広嗣】2024年11月

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