円明

円明

タイトル円明
宗教名臨済宗相国寺派
所在地京都市上京区
創刊年??
種別年2回刊

【主な内容構成】

 臨済宗相国寺派は伝統仏教系の臨済宗14派の内の一つで1876年に萬年山相国承天禅寺(相国寺)を大本山として最初の独立を果たした。相国寺は1392年、足利義満の発願により夢窓疎石を開山として建立された京都五山第二位に列せられる寺院である。鹿苑寺や慈照寺など有名な寺院が山外塔頭として存在する。
 『円明』は1963年8月1日に創刊された末寺および檀信徒向けの機関誌である。題名は相国寺の開山堂である「円明塔」からとられたもの。編集は同宗派の教学部であるが、出版元は相国会という、同派の護持と宗門交流発展を目的として活動する、檀信徒を含んだ団体であり、創刊も同会会員からの要望によるところが大きいとされる。
 号によって扱われるトピックやその順番は不同であるが、①管長、宗務総長、相国会会長の挨拶、②僧侶・一般からの寄稿、③活動報告やそれに付随する寄稿、④本山だより、⑤教区だより、⑥心の姿(短歌とそれに合う写真)が共通するトピックである。正月号では挨拶の前に管長の創作した七言絶句の「歳旦祝語」が掲載される。上記以外にも教化活動委員会活動報告や宝物拝見といったコーナーは、僧侶の活動や寺宝について檀信徒が理解を促進している。寄稿は僧侶以外にも管長からの依頼や一般募集によって幅広く集められているが、1997年8月発刊の68号以前は仏教に関係のない海外見聞録や論も掲載されていたのに対し、それ以降は専門家による論や檀信徒の僧侶との関わりや坐禅・書などの禅宗文化に寄せた投稿が多くなっている。
 本誌の特徴は本山やその周辺行事の情報が僧侶にも檀信徒にも開かれた形で提示されていることである。一般的に『宗報』に載るような宗派の活動報告と檀信徒や教団外部からの寄稿が同じ誌面に掲載されている。こういった構造から本誌はまさに創刊に関わり、発行元となっている相国会の性格を反映していると考えられる。宗派の動きを辿ることができるのはもちろん、相国寺派に関わる檀信徒たちの言葉を直接目にすることができる貴重な資料である。
【東島宗孝】2024年11月

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