大本(愛善苑)
タイトル | 大本 |
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団体名 | 大本 |
所在地 | 京都府綾部市、京都府亀岡市 |
創刊年 | 1946年 |
種別 | 月刊 |
【主な内容構成】
『愛善苑』は神道系の新宗教教団大本が刊行している月刊誌である。1935年の第二次大本事件前までは、教団本部と地方機関との連絡機関誌である『瑞祥会報』『真如の光』が刊行されていたが、同事件を経た戦後1946年に『愛善苑』の名称で創刊、2012年に『大本』へ改称された。
内容は、教主によるあいさつから始まり、以後のページには節分大祭や瑞生大祭などの恒例行事や、教団本部や地方機関による主要な活動が写真付きで報告される。例えば、総代会をはじめとした教団運営に関わる会議や、世界連邦運動やエスペラントなど教団が推進する関連行事の主催・参加は頻繁に取り上げられる。また、教団内規定の発令・変更、通知、予算と決算、組織編制、教団内人事などの事務情報の公示も本誌の役割だ。同じく機関誌である『おほもと』と比べて、運営理念や組織戦略に関する情報が細かく掲載されることから、宗教団体としての作用に関わる事柄を広報・公告する使命を持った雑誌といえるだろう。
1980年代に4代目教主の地位等をめぐる対立(反教団事件、第三次大本事件などと呼ばれる)が生じた時期には、中心人物とされる出口栄二氏の処分理由や、出口直日3代教主の「心痛」をしたためた文面が立て続けに掲載された。これらでは、教理や規定に対する教団の基本姿勢が繰り返し語られており、同事件における組織としての立ち位置をうかがい知ることができる。
大本は脳死段階での臓器移植と死刑制度に反対しており、これらに関連した出来事が生じると、その都度本誌で意見を示した文面が掲載される。1992年1月号では、政府の臨時脳死及び臓器移植調査会(脳死臨調)の中間発表に対して、「脳死を「人の死」とすることに反対する声明」を掲載して抗議している。
一方で、教典『おほもとしんゆ』『霊界物語』を正面から取り扱った神学論はほとんど出てこない。もっぱら教団の動向に関する言及で占められ、大本の主義・主張を信者に向けて宣伝・周知するための雑誌といえる。
【梶龍輔】2024年11月