黄檗宗報

黄檗宗報

タイトル黄檗宗報
団体名黄檗宗
所在地京都府宇治市
創刊年??年
種別月刊誌

【主な内容構成】

 黄檗宗は伝統仏教系の禅宗系の教団で、1876年に臨済宗から独立した。開祖は明代に福建から渡来した臨済宗楊岐派の隠元隆琦で、本山・黄檗山萬福寺は1663年に江戸幕府の支援を受け、開山された。宗門の特徴としては禅と念仏を融合した「念仏禅」や隠元の撰述した独自の規範『黄檗清規』などが挙げられる。また、煎茶や普茶料理、明朝体など「明様・檗様」と呼ばれる文化面の特長も有名である。
 『黄檗宗報』は宗門内にむけての本山での宗務報告に特化した冊子である。標準的な構成は以下の通り。見出しの頁には時節に応じた漢詩(香語・口占)や本院録事(住職任免、教師等補任、遷化、人事、賞状・賞典下付など)や講習会告知など事務的連絡が掲載される。次頁よりは行事の報告事項が数頁に渡り記載され、回忌法要や津葬などの報告から茶道大会のことまで本山での催事の参列者やあらましが記述されている。その他にも護持団体「黄檗会」や「福祥会」の総会報告、修行を終えた僧侶の資質向上のための春季教育講習会の様子など本山に関する様々な報告事項が掲載される。華僑の施餓鬼行事である「普度勝会」の開催や台湾の寺廟との交流などからは華僑の各種団体との関係性も伺える。また、「花園大学掛籍者推薦入学試験要綱」の掲載からは臨済宗との密接な関係が伺える。諸報告の後の「文華殿だより」という欄では、萬福寺境内の宝物殿兼展示場・文華殿から特別展の案内や機関誌『黄檗文華』に掲載する原稿の募集、来館者概要などが告知される。
 本冊子は報告書的な役割を担っている。本山内の動きを月毎に追えることはもちろん、行事の参加者や支援者についての実名での記載があり、本山や宗派を取り巻く関係性を詳細に把握することができる。また、漢詩の形式や明代禅宗の様式が反映された諸行事は臨済宗と似通いながら随所に独自性があり、禅宗内での比較の視座を与えてくれる。
【東島宗孝】2024年11月

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