瑞垣

瑞垣

タイトル瑞垣
団体名神宮(伊勢神宮)
所在地三重県伊勢市宇治館町
創刊年1931年(1948年復刊)
種別季刊

【主な内容構成】

 伊勢神宮の機関誌『瑞垣』は1931年、当時の神宮神部署の時報として創刊された。1929年の式年遷宮の翌年、内宮の古殿地は瑞垣内に一本の稲穂が自ずと実を結んだことが誌名の由来。創刊後1934年までは年3回、1935年と1936年には年4回刊行されたが、日中戦争で人員物資が不足し1937年は年3回、1938年は年2回、1939年と1940年は年1回と次第に発行頻度が低下。1940年の第26号を期に刊行は中断された。1943年には前年の昭和天皇参拝1周年を記念して27号が刊行されたが、これが終戦前最後の刊行となった。
 戦後『瑞垣』は1948年に復刊。物資不足から復刊第1号から第11号まではタブロイド版1枚での刊行だった。現在の『瑞垣』の雛型は1952年の第12号とされる。冊子形態に移行し、表紙には宇治橋、巻頭には同年の昭和天皇参拝の白黒写真が掲載された。頁数は次第に増え、1954年の第18号からは表紙に二色刷りの写真、1956年の第29号からはカラー写真が掲載されるようになる。創刊以来『瑞垣』の印刷は基本的に神都印刷が担ってきたが、2009年の212号以降は磯野印刷、2012年の222号以降は北浜印刷工業が担っている。 
 現在『瑞垣』は年3回程度の頻度で刊行されている。頁数は号毎に差があるが大体150頁程度。関連行事に因んだ「特集号」が組まれることもある。表紙と巻頭は神宮関連の施設や行事のカラー写真で飾られ、その後に各種記事が掲載される。寄稿者には神宮の内部関係者だけでなく外部の人物も名を連ねる。宗教者や宗教学者の寄稿文も散見される。神宮美術館の所蔵品を紹介する「神宮名品解説」コーナーなど、一般読者を楽しませる工夫も多い。巻末の「彙報」欄では神宮と関連する組織や施設の活動記録を読むことができる。
 機関紙『瑞垣』は2021年で創刊90周年を迎えた。戦時下の中断もあったが、近現代の伊勢神宮を知るうえで必須の資料と言える。1980年には復刊第1号から第120号まで、1998年には175号まで、2016年には232号までの総索引、1991年には戦前の『瑞垣』全27号の索引が刊行されており、過去の掲載記事のタイトルを一覧することができる。現在の『瑞垣』には、難解な専門的議論を極力避け、平易な言葉で神宮の歴史と活動を伝えるという創刊当時の方針が引き継がれている。その意味で『瑞垣』は、神宮と崇敬者を結ぶという創刊以来の役割を果たし続けている。
【田中浩喜】2024年11月

教団刊行物デジタル事典のトップページに戻る