The Liberty(ザ・リバティ)
タイトル | The Liberty(ザ・リバティ) |
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団体名 | 幸福の科学 |
所在地 | 東京都港区 |
創刊年 | 1995年 |
種別 | 月刊 |
【主な内容構成】
1995年創刊の『ザ・リバティ』は、幸福の科学の月刊オピニオン誌。創刊時はA4判だったが、14号(1996年6月号)以降はB5判となった。デザインや構成は定期的に変更されてきたが、現行のかたちになった2017年1月号(No.263)以降のものをみると、頁数は毎号100頁程度。カラーページが多く、写真やイラストもふんだんに使用されており、読みやすさと分かりやすさを重視していることがわかる。その誌名と目的については、同誌によると、「「ザ・リバティ」とは「リバティ(Liberty自由)」に「真の」という意味を持つ「ザ(The)」を冠し、信教の自由、責任を伴う選択の自由や創造の自由など、宗教的真理と普遍的価値観に基づく「真の自由の創設」を目指しています」。2010年11月にはウェブ版の「ザ・リバティweb」が開設されている。
内容構成は流動的だが、基本的には時事問題を教団独自の観点から取り上げている。創刊当初は阪神淡路大震災やオウム真理教、以降は臓器移植、ゆとり教育、いじめ問題などが批判的に取り上げられている。火星移住計画など教団のユニークさが目立つ提言もある。その後、民主党が2007年の参院選で大勝し、2009年に政権交代を実現する。幸福の科学も同年に幸福実現党を結党する。これ以降の同誌の論調は右傾化を強めた。憲法改正は1990年代から訴えていたが、さらに反中国や反共産主義の姿勢を先鋭化させるとともに、歴史修正主義を前面に掲げるようになった。政教関係に関しては政治と宗教の連携の必要性を訴えており、例えば275号(2018年1月号)では、アメリカのトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相、フィリピンのドゥテルテ大統領、サウジアラビアのサルマン皇太子を、宗教や信仰を尊重するリーダーとして好意的に紹介している。
月刊誌『ザ・リバティ』は、幸福の科学の独特な世界観に沿って時事問題を扱った、信徒向けの雑誌である。研究者は同誌を通して、幸福の科学の社会的な問題関心とその変遷を跡付けることができる。その歩みは、50号(1999年6月)、創刊10周年の121号(2005年5月)、創刊15周年の183号(2010年5月)、創刊20周年の243号(2015年5月号)の記念特集にまとめられている。ただしその論調は、これまでの同誌の主張がいかに正しかったのか、いかに社会に影響を与えたのかを誇張気味に喧伝するものとなっている。
【田中浩喜】 2024年11月