*イスラム系大統領の誕生描く近未来小説
| 記事年月 | 2015年1月-3月 |
|---|---|
| 号数 | 66 |
| 媒体 | 国外 |
| 大分類 | 【B-7. 西ヨーロッパ】 |
| 国名 | フランス |
| トピック | |
| 記事タイトル | *イスラム系大統領の誕生描く近未来小説 |
| 本文テキスト | 『シャルリ・エブド』紙銃撃事件が起きた1月7日、人気小説家ミシェル・ウエルベック氏の新作『服従』が発売され、論争を巻き起こしつつもベストセラーとなっている。小説は、2022年に実在する極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン候補を破り、架空の政党「イスラム博愛党」の候補が大統領に当選するというもの。ウエルベックはイスラム嫌悪派と目されることから、バルス首相は「フランスはウエルベックではない。不寛容・憎悪・恐怖ではない」と批判。イスラム嫌悪の拡大に伴う国民戦線の支持拡大への不安ものぞかせた(読売2/11ほか)。 ただし小説の内容について専門家は、イスラム嫌悪を煽るようなものではなく、「伝統的価値を失った世界をむしばむ孤独やペシミズム」を淡々とした筆致で浮き彫りにし、「危機の真の原因は、イスラームの台頭や移民の増加ではなく、西欧社会そのもののうちにある」ことを炙り出す作品と評価している(野崎歓「ウエルベックの涙」『ふらんす』3/11)。 |