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6月7日に行われた総選挙で、与党の「公正発展党(AKP)」が議席を大幅に減らした。AKPは258議席(定数550)を確保して第一党にとどまったものの、選挙前から53議席を減らし、2002年の政権発足以来、初めて過半数を割り込んだ。選挙の争点はエルドアン大統領が目指す強い大統領制導入の是非で、AKPは政治的象徴で中立と規定される大統領職に強い政治権限を付与するための憲法改正を公約に掲げた。野党は大統領権限の強化に反対しており、批判票を取り込んで票を伸ばした。中でも躍進したのが、80議席を獲得したクルド系政党の国民民主主義政党(HDP)である。イスラム教色を強めてきたエルドアン政権に対し、HDPは宗教的少数派、女性、労働者の権利保護を掲げ、クルド人以外にも支持を広げたとされる。また、シリア北部のクルド人自治区が「イスラム国」の侵攻を受けた際、政府が軍事介入を渋った経緯があり、AKPと協力関係にあったクルド人票がクルド系野党に流れてHDPの躍進につながったとみられる(日経6/9ほか)。AKPは他党との連立協議に入ったが、政策の違いが大きく、協議は難航する見込み。45日以内の組閣に失敗すれば再び総選挙が実施される(日経6/10)。 |