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日本の最高裁がイスラム教徒への監視捜査を「合憲」としたことに対する懸念の声が報じられた。2010年、日本で暮らすイスラム教徒の個人情報などが書かれた警視庁の内部文書144点がインターネット上に漏洩したことを受け、イスラム教徒ら17人が東京都などを訴えていた問題で、最高裁は2016年5月31日、警察の捜査を「合憲」とする判決を下した。漏洩した資料には、イスラム教徒の名前や住所、勤務先、交友関係、写真のほか、尾行記録も含まれていた。警察は「テロ防止」の名目で、イスラム教徒であることを理由に監視を行ったとしている。 最高裁に先立ち東京地裁・高裁は「情報管理に過失があった」として、東京都に約9千万円の支払いを命じたものの、監視については「信仰に影響を及ぼしてもテロ防止のためにやむを得ない」として合憲とした。最高裁は原告の上告を棄却し、高裁判決を認めた形。こうした判決は、カタールの国際テレビ局「アルジャジーラ」や、イギリスのネット新聞「インディペンデント」などで、プライバシーや信教の自由の侵害として報じられているという(東京・東京7/10)。また、アメリカやドイツなどで「宗教のみを理由とした捜査を禁じる」とする判断が下された例を挙げ、イスラム教に対する無理解に警鐘を鳴らす報道も行われた(朝日・東京8/2)。 |