*ミゲルの棄教説、再検討へ

*ミゲルの棄教説、再検討へ

記事年月 2017年7月-9月
号数 76
媒体 国内
大分類 【A-4.キリスト教】
国名 日本
トピック
記事タイトル *ミゲルの棄教説、再検討へ
本文テキスト  長崎県諫早市で千々石(ちぢわ)ミゲルの墓とされる石碑の地下からロザリオの一部とみられる玉とガラス板などが発掘されたことが、9月8日に同調査の実行委員会から発表された。ミゲルは16世紀に天正遣欧使節としてローマへ派遣された4人のうちの1人で、これまで、ミゲルのみが帰国後にキリスト教を棄てたとされていた。しかし、同委員会によれば、今回の発掘物によって棄教説が覆る可能性があるという。発掘されたのは直径2mmから5mmの中心に穴の空いた5色のガラス玉が59個と、長さ2.6cmの半円形のガラス板で、いずれも人の歯と思しきものの近くから出土した。カトリック信者が用いるロザリオは59個の玉を繋ぐものであるため、出土物の数と一致し、玉の一部とガラス板はヨーロッパで生産されたアルカリガラスの可能性が高いことが指摘されている。石碑には仏教の戒名が彫られており、ミゲルは屈葬されたとみられているが、仏式で葬ったうえでキリシタンの副葬品を納める潜伏キリシタン的埋葬法が採られたとされる。ミゲルは帰国後の1601年ごろにイエズス会を脱会したために棄教したと捉えられていたが、脱会はしたものの、信仰そのものを棄てたわけではないとの解釈が浮上している(朝日・東京9/9ほか)。 発掘調査は8月20日から、長崎県内の歴史愛好家や地元住民らによる実行委員会が行った。これまでもミゲルの子孫にあたる地権者が2014年および2016年に調査を行ったが、その際には被埋葬者の特定には至らなかった。埋葬文化財を調査する場合は公共団体が主導するケースがほとんどであるが、3回目の調査となる今回は民間が主体となる実行委員会方式を採り、地元住民らを中心に発掘資金を募り、炊き出しなどの協力も仰いだ。同委員会会長は、こうしたかたちは「全国的にも例が少ない」と語っている(長崎・長崎9/9ほか)。
 発掘調査は8月20日から、長崎県内の歴史愛好家や地元住民らによる実行委員会が行った。これまでもミゲルの子孫にあたる地権者が2014年および2016年に調査を行ったが、その際には被埋葬者の特定には至らなかった。埋葬文化財を調査する場合は公共団体が主導するケースがほとんどであるが、3回目の調査となる今回は民間が主体となる実行委員会方式を採り、地元住民らを中心に発掘資金を募り、炊き出しなどの協力も仰いだ。同委員会会長は、こうしたかたちは「全国的にも例が少ない」と語っている(長崎・長崎9/9ほか)。
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