*マクロン大統領がカトリック教会と接近か

*マクロン大統領がカトリック教会と接近か

記事年月 2018年4月-6月
号数 79
媒体 国外
大分類 【B-7. 西ヨーロッパ】
国名 フランス
トピック
記事タイトル *マクロン大統領がカトリック教会と接近か
本文テキスト  マクロン大統領が4月9日、カトリック司教らを前に教会と国の損なわれた絆の修復が必要であると語ったことにつき、各方面からライシテ(政教分離)の原則に違反するのではないかとの疑義が呈された。また大統領は6月26日にバチカンを訪問し、教皇と1時間近く会談した。大統領は12歳の時にカトリックの洗礼を受けているが、現在は神はいるともいないとも言えないと考える「不可知論者」であると公言している。突然のカトリック寄りの言動に、地方選対策であるとか、安楽死や独身または同性愛者の女性の体外受精の合法化などリベラルな政策を進める下準備であるとする憶測も飛び交っている(毎日7/3)。
 なお、こうした状況を包括的に説明する書が3月に刊行された『ライシテから読む現代フランス』(伊達聖伸著、岩波新書)である。同書の書評では、フランスにおけるライシテの歴史的な変遷をたどり、その多様な姿を浮き彫りにすると評されている。厳格な政教分離により特徴付けられてきたフランスのライシテを、カトリックを国民文化として優遇する「カト・ライシテ」の視点から描き直すことで、18~19世紀のプロテスタントやユダヤ教徒への迫害(カラス事件やドレフュス事件)から現代のイスラム教徒排斥までを一連の流れの中で説明しているとする(読売5/13ほか)。
『ラーク便り』データベースの検索ページに戻る