*僧衣での運転は違反か

*僧衣での運転は違反か

記事年月 2019年1月-3月
号数 82
媒体 国内
大分類 【A-2.仏教】
国名 日本
トピック
記事タイトル *僧衣での運転は違反か
本文テキスト  2018年9月に40代の男性僧侶が僧衣を着て車を運転し、福井県警から「運転に支障がある」として青切符(交通反則告知書)を切られたことが波紋を広げている。同県警は、県道路交通法施行細則に記載されている「下駄、スリッパその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物または衣服を着用して車両を運転しないこと」と定めた条項に抵触するとして今回の摘発に至ったとしている。県警側は僧侶に反則金の支払いを命じたが、僧侶側はこれを拒否。反則金を支払うことで僧衣での運転が違反行為となり、全国の僧侶が僧衣姿で運転できなくなると考えたためだという(朝日・大阪・夕2/2ほか)。
 この事件に対し、「僧衣姿でも自由に動ける」と抗議の意を込めて、僧衣姿のまま大道芸や縄飛びを披露する動画をSNS上に投稿する僧侶たちが大きな話題となった。なかには動画再生数が100万回以上に上るものもあり、海外のメディアからも注目された(読売・東京1/10ほか)。また、青切符を切られた僧侶が所属する浄土真宗本願寺派の本山・西本願寺も仏教界では法事のため僧衣で運転する機会は日常的にあるとした上で、「宗派全体に及ぶ問題。取り締まりは受け入れがたい」とコメントを発表した(産経・東京1/11ほか)。
 その後、同県警は1月26日、「証拠が十分に確保できず違反事実が認定できなかった」として青切符を取り消し、書類送検を見送った。この問題は国会でも議論となり、政府は2月8日、僧衣での運転が道路交通法違反にあたるかについて「個別に判断するべきで、一概に言えない」とする答弁書を閣議決定した。3月7日、同県警は県道路交通法施行細則の服装に関する規定を削除することを発表。改正を受け、青切符を切られた僧侶は「(県警から)相当な配慮をいただいた。苦悩の中の決断だったと思う」とコメントした。なお改正後の県道路交通法細則は4月4日に施行された(読売・東京1/27、2/9、福井・福井3/8ほか)。
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