*東洋英和女学院長、神学者捏造など不正判明

*東洋英和女学院長、神学者捏造など不正判明

記事年月 2019年4月-6月
号数 83
媒体 国内
大分類 【A-4.キリスト教】
国名 日本
トピック  
記事タイトル *東洋英和女学院長、神学者捏造など不正判明
本文テキスト  学校法人・東洋英和女学院は5月10日に会見を開き、学院長であり同学院大教授である深井智朗氏の研究不正を認定したと発表した。同日、学院は臨時理事会で深井氏の懲戒解雇を決定した。
2018年9月に学外の研究者から深井氏の著書や論考の一部に「創作の疑いがある」との指摘がなされ、同学院は調査委員会を設置して調査を進めていた。調査によって不正が認定されたのは著書『ヴァイマールの聖なる政治的精神』(岩波書店、2012年)と論考「エルンスト・トレルチの家計簿」(雑誌『図書』掲載、2015年)で、実在しない神学者「カール・レーフラー」の存在と論文を捏造している、ドイツの神学者の著作から盗用している、トレルチの家計に関する資料として無関係な資料を用いているなどの不正が指摘された。<
    深井氏は意図的な不正を否定したが、調査委は深井氏が虚偽の証拠を提出したり説明を二転三転させたりして、調査の妨害を行ったと認定。また深井氏の研究に以前から疑問の声が上がっていたことについて、「研究姿勢を正す機会があったのに生かされることがなかった」と指摘した(朝日・東京5/11、5/15ほか)。
    上記の調査結果を受け、岩波書店は5月13日、調査開始時から出荷停止していた『ヴァイマールの聖なる政治的精神』を絶版とし、回収すると発表した。また読売新聞社および中央公論新社は5月17日、深井氏の著書『プロテスタンティズム』(中央公論新社、2017年)に2018年に授与された「読売・吉野作造賞」の授賞取り消しを決定した(読売・東京5/14、5/18ほか)。
[→『ラーク便り』81号8頁参照
『ラーク便り』データベースの検索ページに戻る