*書評『復讐の詩編をどう読むか』
記事年月 | 2019年10月-12月 |
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号数 | 85 |
媒体 | 専門紙 |
大分類 | 11月 |
国名 | 日本 |
トピック | キリスト新聞 カトリック新聞 クリスチャン新聞 |
記事タイトル | *書評『復讐の詩編をどう読むか』 |
本文テキスト | ツェンガー著『復讐の詩編をどう読むか』(日本キリスト教団出版局)は、聖書の「詩編」における攻撃的な内容の詩句を再評価したもの。教会は古来より、そのような詩句をユダヤ人や戦争相手に対する呪詛の言葉として用いてきたが、第二バチカン公会議以降、カトリック教会は、これらの内容を不適切と見なし削除してきたという。しかしツェンガーは、このネガティブな詩句を「神が支配しておられるこの世界で、なぜこれほどに不正が起こり、不当かつ不条理に苦しめられる人間が存在するのか」という神義論的問いと解釈した。『キリスト新聞』は「神の正義を強く求め、神へと肉薄する人間の真剣な祈りがある。このような祈りを我々はもっと素直に祈ってもよいのだ。同時に、誰かをこのように祈らねばならぬほど追い詰めてはいないかという、自らの加害性にも想いを馳せねばならない」と評した(ク3日付、キ11日付)。 |