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真宗大谷派の宗議会(僧侶議員)と参議会(門徒議員)は6月21~30日に開かれた宗会で、部落差別を助長してきたとされる「是旃陀羅(ぜせんだら)」問題に関する決議文を全会一致で採択した。旃陀羅とは古代インドの被差別民「チャンダーラ」を指し、浄土真宗の聖典の1つ『仏説観無量寿経』には母を殺害しようとする阿闍世(あじゃせ)王に対し重臣が「そのようなことをするのは旃陀羅だ(是旃陀羅)」と諫めたと記されている。東西本願寺教団では旃陀羅を「日本における穢多、非人」と注釈してきた歴史があり、全国水平社は戦前から善処を要求してきた。決議文では「私たちは、その言葉を聞くことで心が痛い、耐え難いと感じる人がいることに思いが至らず、法要儀式で読誦を繰り返し、またその言葉に『穢多』・『非人』という言葉を当てて教化してきた歴史がありました」と謝罪の意を示し、部落差別をはじめとする様々な人権問題をめぐる教学・教化・儀式上の課題について、具体的な改善に取り組んでいくべきだとしている。一方、文案調整の段階で「是旃陀羅」の不読を主張する文言を入れるかが議論になったが、最終的に「時期尚早」として盛り込まれなかった。今回の決議文は、2022年の全国水平社創立100周年や2023年の立教開宗800年を前に、教団として「人間解放」に向けた取り組みを示したかたち(7/2。文化時報7/5、7/15に関連記事)。 |