*首都制圧、暫定政権発足までの経緯

*首都制圧、暫定政権発足までの経緯

記事年月 2021年7月-9月
号数 92
媒体 国外
大分類 【B-4. 中東・西アジア】
国名 アフガニスタン
トピック  
タイトル *首都制圧、暫定政権発足までの経緯
本文  4月末に開始した駐留米軍の撤退以降各地で攻勢を強めていたタリバンは、8月15日、首都カブールを制圧し、大統領府を占領したと宣言した。ガニ大統領が国外退避したことで、9.11同時多発テロ後の米軍攻撃を受けて成立したアフガン親米民主政権が崩壊し、20年ぶりにタリバンが政権を奪取した。タリバンは8月17日に政権掌握後初の記者会見を行い、自由で開かれた挙国一致型の政権を樹立することを宣言した(朝日・夕8/16ほか)。
 9月7日、タリバンは33人の閣僚からなる名簿を公表し、タリバン暫定政権が本格始動した。首相代行にはタリバン創設者の一人で旧タリバン政権時代に外相や副首相を務めたアフンド師、第一副首相代行には穏健派で政治部門のトップであるバラダル師、第二副首相代行には中国との交渉を担当するハナフィー師、国防相代行には初代最高指導者オマル師の息子であるヤクーブ師、内相代行には組織内の強硬派「ハッカニ・ネットワーク」のトップであるハッカニ師が就任するなど、タリバン古参幹部が要職を独占した。最高指導者アクンザダ師は入閣しておらず、精神的指導者としてコントロールするとみられる。アクンザダ師は同日の声明で「イスラム法を護持し、国益を守ることを約束する」と主張、閣僚らが国の再建に全力を尽くすと強調した(産経9/9ほか)。
 9月21日に閣僚の追加発表があり、通商産業相に東部出身のタジク人、保健次官にハザラ人が起用された。ハザラ人は、旧タリバン政権下で迫害を受けた少数派民族。7日に発表した閣僚がタリバンの古参幹部(パシュトゥン人)で占められていたことに対する国際社会からの批判を意識し、一部の閣僚に少数派民族を起用したとみられる(朝日9/22ほか)。
[→『ラーク便り』91号42頁参照

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