*宗教的少数派への迫害強まる
| 記事年月 | 2014年7月-9月 |
|---|---|
| 号数 | 64 |
| 媒体 | 国外 |
| 大分類 | 【B-4. 中東・西アジア】 |
| 国名 | イラク |
| トピック | |
| 記事タイトル | *宗教的少数派への迫害強まる |
| 本文テキスト | 「イスラム国」は6月に制圧した北部モスルで7月18日、キリスト教徒住民に人頭税を支払わなければ「剣で強制する」として事実上の退去勧告を出し、多数のキリスト教徒が隣接するクルド人自治区などに脱出した。人頭税はかつてイスラム帝国でユダヤ教徒やキリスト教徒に対して課していたもの(読売7/20)。 「イスラム国」はモスル周辺のクルド人自治区にも攻勢を強め、8月3日にはモスルの西側に位置しシリア国境にも近いシンジャルを制圧した。シンジャルには「イスラム国」が「悪魔崇拝」とみなすクルド系のヤジディ教徒やキリスト教徒が居住しており、20万人が周辺地域に脱出した(朝日8/9)。イラク当局は8月10日、「イスラム国」が少なくとも500人のヤジディ教徒を処刑し、300人以上の女性が拉致されたと発表した(毎日8/12)。米軍は8月8日以降、宗教的少数派の保護などを目的に「イスラム国」への空爆に踏み切った。これに対し「イスラム国」は8月、9月に米国人記者2人と人道援助活動を行っていた英国人1人を処刑、動画を公開して空爆参加国に警告した(東京9/15)。 ヤジディ教はゾロアスター教、キリスト教、イスラム教の要素が混合した一神教で、イラク、トルコ、シリアなどで約100万人が信仰するとされる。イスラム教で悪魔とされているクジャクを神聖視することなどからイスラム過激派から敵視されており、2003年以降、過激派によるテロの標的となってきた(読売8/13)。国連は8月12日付けの声明で、ヤジディ教徒や少数派住民の女性や年少者約1500人が拉致され、性暴力を受けている恐れがあるとし、国際社会の行動を求めた(日経・夕8/14)。在英「シリア人権監視団」は8月30日、拉致された女性の一部が改宗を強制され、シリアの「イスラム国」戦闘員の結婚相手として一人1千ドル(約10万円)で売り払われたとの情報を明らかにした(毎日9/1)。 [→小特集(2)参照] |