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ハディ暫定大統領(以下、大統領)の下で新憲法の制定が進められていたイエメンで、連邦制導入に反対していたシーア派系ザイド派の武装組織「フシ」が首都サヌアの政府機関などを武力で制圧し、実権を握った。「フシ」は1月19日から大統領官邸や首相官邸、テレビ局などを攻撃・制圧し、さらなる武力行使の可能性を示唆して政府要職の割り当てや憲法草案の修正を要求。軟禁状態に陥った大統領は辞意を表明し、2月6日には「フシ」主導で国会解散と暫定政府の設立が宣言された(朝日2/8ほか)。 シーア派系組織による事実上のクーデターに対し、スンニ派地域の南部タイズでは数千人規模の抗議デモが行われた。大統領は2月21日に出身地アデンに脱出し、中東の衛星放送局アルジャジーラを通じて辞意を撤回、アデンを首都と宣言した(東京3/9ほか)。大統領はサウジによる軍事介入を求め、3月25日には湾岸諸国などスンニ派主導の10ヶ国がサヌアへの空爆を開始した。他方、シーア派大国であるイランは「フシ」主導の「イエメン政府」支援に乗り出しており、クーデターは近隣諸国を巻き込んだ宗派間抗争に発展しつつある(毎日3/27ほか)。 政情不安が続くイエメンはAQAPなどアルカイダ系組織の拠点となってきたが、3月20日にはサヌアで「フシ」幹部を狙った自爆テロが起き、「イスラム国」が犯行声明を出した。混乱に乗じて「イスラム国」も進出を始めた可能性が指摘されている(SANKEI EXPRESS3/22ほか)。 |