*アイヌの遺骨返還訴訟 問題点が明らかに
| 記事年月 | 2015年1月-3月 |
|---|---|
| 号数 | 66 |
| 媒体 | 専門紙 |
| 大分類 | 3月 |
| 国名 | 日本 |
| トピック | 中外日報 |
| 記事タイトル | *アイヌの遺骨返還訴訟 問題点が明らかに |
| 本文テキスト | 北海道大学など全国12大学にアイヌの遺骨1636体と個体が特定できない515箱分が現在保管されている。これは明治以降、研究者がアイヌの墓地から持ち去ったもの。これに対し発掘地のアイヌ4人と浦幌アイヌ協会が原告となり、2012~14年にかけて北大に遺骨の返還を求め札幌地裁に提訴した。1月末に原告を支援する集会が東京で開かれ、原告の差問正樹氏は「私たちは先祖がやっていたように遺骨を慰霊したい。イチャルパ(慰霊祭)を地元でやりたい」と訴えた。しかし政府の「アイヌ政策推進会議」のガイドラインでは遺骨の請求資格は祭祀継承者に限定されるため、研究標本として扱われた遺骨のほとんどは個人名が不明であり、資格者が名乗りようがない。またアイヌは死者をコタン(村落)単位で祀るため「祭祀継承者」の概念はなく、ガイドラインの実効性に疑問が出されている。 一方、国は北海道白老町に新設する施設に遺骨を集約する計画を進めているが、原告団の市川守弁護士はその「慰霊施設」まで行かねば慰霊行事ができないのはアイヌの人々の信教の自由を侵害するものであり、国立施設での慰霊行事は政教分離の原則からも疑問だとしている。なおこの訴訟には浄土真宗本願寺派の殿平善彦住職、日本基督教団北海教区など宗教者が支援を行っている(20日付)。 |