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7月27日、アキノ大統領が任期中最後となる施政方針演説を行い、ミンダナオ和平の実現を訴えた。アキノ政権はモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で、ミンダナオ地域に「バンサモロ自治政府」を設置することで合意しており、自治政府設立を定めるバンサモロ基本法がフィリピン議会に提出されている。しかし、2015年1月に起こったMILFと治安部隊との交戦で審議が一時中断したほか、議員の間で法案の違憲性が指摘されるなど、法案通過の目処は立っていない(赤旗7/29ほか)。 2010年の総選挙で与党「連邦団結発展党」から立候補して当選したイスラム教徒議員のシュエマウン氏は、今回は党の公認が得られず、無所属で立候補申請して不適格とされたという。躍進が確実視されるNLDも、当初は数十人のイスラム教徒の擁立を検討していたが、仏教徒団体などからのイスラム寄りとの批判を避けるため、候補者擁立を見送っていた。 不適格者は、イスラム教の少数民族、ロヒンギャ族が集中するラカイン州で28人と最も多かった。選挙権は、両親がミャンマーの市民権を保有しているか、ミャンマー土着の民族であることが要件だが、ロヒンギャ族はいずれにも該当しない。2010年までは一時滞在者カードで選挙権が与えられていたが、2015年初頭に同カードも廃止された(朝日9/10ほか)。[→『ラーク便り』65号37~38頁、66号42頁参照] |