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9月11日、メッカのカーバ神殿を囲む聖モスクにクレーンが倒れ、モスクにいた巡礼者109人が死亡、200人以上が負傷した。事故当時、メッカは異例の暴風雨に見舞われていたという。9月下旬からは約200万人が同地を訪れる巡礼月に入るため、聖モスクでは巡礼者の受け入れ人数を増やすために拡張工事が行われていた(日経・夕9/12ほか)。 巡礼月に入った9月24日には、メッカ郊外の聖地ミナで、巡礼者が殺到し、1500人以上が死傷する事故が起こった。24日は、ミナで投石の儀式が行われる日で、巡礼月のクライマックスとなる。このため、約200万人の巡礼者の多くがミナ周辺に集中していた(朝日9/25)。地元メディアは、投石に向かう巡礼者が一方通行の巡礼路を逆行したことで事故が誘発されたと報じている(読売9/26)。犠牲者の多くは外国人とみられ、9月26日時点で769人にのぼった。メッカ巡礼中の圧死事故は過去にも複数回起こっており、2006年にもミナで同じ儀式中に約350人が死亡している。今回の事故は、1426人が亡くなった1990年以来最悪の死者数となった(朝日9/25)。 イランではサウジの安全管理上の問題を批判するデモが発生し、27日にはサウジ大使館前に集まった数百人が「聖地を(シーア派に)取り戻せ」「サウジ王室に死を」などと非難の声をあげた(産経9/29)。事故に関し、サウジの大ムフティのアブドルアジズ師が「人間が制御できる範囲を超えていた。運命や死は避けられない」と述べたと報じられている(毎日9/29)。 |