*アイヌ男性、先住権を主張し無許可のサケ漁実施
記事年月 | 2019年7月-9月 |
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号数 | 84 |
媒体 | 国内 |
大分類 | 【A-3.習俗・慰霊】 |
国名 | 日本 |
トピック | |
記事タイトル | *アイヌ男性、先住権を主張し無許可のサケ漁実施 |
本文テキスト | 9月1日、北海道紋別市の川で、アイヌ民族の男性が道の許可を得ずに儀式用のサケ十数匹を捕獲し、道警の取り調べを受けた。道職員は男性を制止したが、周囲で漁を見ていた先住権の専門家やアイヌらはサケの捕獲は先住権として認められると反論した。4月に成立したアイヌ施策推進法ではアイヌを「先住民族」と明記している。しかし2018年8月に国連の人種差別撤廃委員会が土地や資源に関するアイヌの権利保護を日本政府に勧告したにもかかわらず、同法に先住権は規定されなかった。漁で捕ったサケは、同日に開かれた豊漁祈願の伝統儀式カムイチェプノミで供えられた(室蘭民報・室蘭9/2)。 アイヌのサケ漁は明治時代に禁漁や水産資源保護法で禁止されていたが、道は2005年に道内水面漁業調整規則で許可を得れば伝統的な儀式や漁法の伝承のための捕獲を認める規定を設けている。男性は「漁をするかどうかは(先住民族の)自己決定権だ」として8月31日からサケ漁を行っており、道は同規則違反などで9月1日に紋別署に男性を告発。道警も男性宅を家宅捜査していた(室蘭民報・室蘭9/8)。 これを受け、アイヌや学者らでつくる市民団体「アイヌ政策検討市民会議」は、9月9日、サケ漁の規則を改定するよう求める意見書を道知事宛に提出した。同団体は、先住民族の権利は国際人権規約や人種差別撤廃条約などで保障され、漁も文化享有権として認められていると指摘している(北海道・札幌9/10ほか)。12日、道は許可制は維持するもののサケ漁の手続きを簡略化する方向で検討を進めていることが明らかになった(室蘭民報・室蘭9/13)。 |