*札幌地裁で2例の旧優生保護法訴訟
記事年月 | 2021年1月-3月 |
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号数 | 90 |
媒体 | 国内 |
大分類 | 【A-8.その他の宗教関連事象】 |
国名 | 日本 |
トピック | |
タイトル | *札幌地裁で2例の旧優生保護法訴訟 |
本文 | 旧優生保護法下で不妊手術を強制されたのは違法だとして、札幌地裁で2例の裁判が行われた。1例目は1月15日、札幌市の男性が国に損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は旧法が違憲であるとの判決を示したが、原告の請求は術後20年の除斥期間の経過を理由に棄却された。同判決では既に指摘されていた憲法13・14条に加え、家族を形成する権利に関する24条への違反が初判断された。また同類の裁判では原告が名前を公表して行った初めてのもの。原告側は判決を不服として2月17日に控訴した(朝日・東京1/16、毎日・東京1/16ほか)。 2例目は2月4日に行われた北海道在住の女性とその故人の夫が国に損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は不妊手術の実施自体を証拠不十分として認定せず、請求を棄却した。実施自体が認定されなかったのは初めてで除斥期間に関する言及も行われなかった。強制中絶に関する判決も初めて。判決では夫婦が経済的理由で中絶を行った可能性が否定できないとし、旧法では経済的理由による中絶が認められていたことや、夫婦が親戚に金を借りていたことなどから判断に至った。判決後原告の弁護団や各地の関係者から批難の声や客観的証拠をもたない被害者が声をあげにくくなることを危惧する声があがった。原告弁護団は控訴する方針を発表した。厚生労働省は「国の主張が認められたと認識している」とコメントしている(朝日・東京2/5、毎日・東京2/5)。 |