*震災から10年、教団アンケート

*震災から10年、教団アンケート

記事年月 2021年1月-3月
号数 90
媒体 専門紙
大分類
国名 日本
トピック 中外日報
タイトル *震災から10年、教団アンケート
本文  『中外日報』はこのほど、東日本大震災から10年を前に被災地の宗教者を対象に、復興に向けた現況や課題などに関する教団アンケート調査を行った。アンケートは7つの設問からなり、伝統仏教の10宗派と神社本庁を対象とし、全教団が回答した。そのうち設問1の「最終的に把握した被災寺社数」の結果から、全壊した寺院は167ヶ寺以上に上り、日蓮宗や臨済宗妙心寺派では震災5年を機に同紙が行ったアンケートの結果と比べて全壊寺院数が増加していた。設問2の復興状況に関しては、多くの教団で復興が進んでいることが確認された。しかし、復興の定義の不明瞭さや各寺院での状況の違い、継続調査がないことなどから6教団からは回答がなかった。設問3は宗費減免や支援費(貸付)について問うもので、現在貸付を行っているのは神社本庁を含む6教団であり、宗費減免は4教団の6~8ヶ寺でなされていることが分かった。設問5は対策本部等の設置・閉鎖について聞き、幾つかの教団は七回忌以降に閉所や教団本部の対策室と統合したことが分かった。対して、今でも被災地に対策窓口を置く教団もあり、本願寺派、大谷派、曹洞宗などが助成金交付や生活再建支援、被災地の状況調査を行っている。
 上記の調査結果を踏まえ、淑徳大学の藤森雄介教授は10年を経てもなお復興の途上にある被災地の状況が垣間見えた一方で、各教団の対策本部等の設置や閉鎖状況からは防災・減災の対策を継続的に行っていく難しさがうかがえるとコメント。包括宗教法人としての教団が非常時にいかに各寺院を支援するか、「日常」からの検討と備えを継続的に行う必要性にも言及した(3/3)。
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