*国内初の内密出産をめぐる動き
記事年月 | 2022年1月-3月 |
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号数 | 94 |
媒体 | 国内 |
大分類 | 【A-8. その他の宗教関連事象】 |
国名 | 日本 |
トピック | |
タイトル | *国内初の内密出産をめぐる動き |
本文 | 孤立した妊婦が匿名で出産できる事実上の「内密出産」制度を独自に導入しているキリスト教系の医療法人・聖粒会慈恵病院(熊本市)は、1月4日に会見を開き、昨2021年12月に10代の女性が制度を利用し出産したことを明らかにした。出産後も女性が制度利用の希望を撤回しなかったため日本初の事例になるが、内密出産は国内で法制度化されていない(読売・東京1/5ほか)。これまで病院側に内密出産を控えるよう要請していた熊本市は2月9日、現場の切迫を踏まえ「現実的対応をする」として慈恵病院と協力する方針に転換することを明らかにした。2月10日には法務局が、母親名未記入の出生届を病院が代理で提出することに関する慈恵病院提出の質問状への回答として、出生届を提出しなくても戸籍法に基づき市区町村の職権で戸籍の記載ができるとの方法を提示した。これを受けた病院と市の協議により、出生届を出さず熊本市の区長による職権で戸籍記載の手続きに入ることになった(毎日・東京・夕2/9、東京・東京・夕2/10、2/19)。 今回のケースでは例外的に出生児の戸籍がつくられることになったが、内密出産をめぐる法整備や「子どもの出自を知る権利」には課題が山積する。政府は従来の見解を維持しており、松野博一官房長官は2月10日の会見で、現行法で可能な対応策に力を入れる方針を強調した。2月25日の参院予算委員会の質疑でも、後藤茂之厚生労働大臣も現行法制度下で対応可能として違法ではないとする認識を示した一方で、法整備には慎重な考えも強調した(朝日・東京2/11、2/26)。 [→『ラーク便り』93号26頁参照] |