*沖縄遺骨土砂問題、意見書の提出と県知事の措置命令をめぐる動き

*沖縄遺骨土砂問題、意見書の提出と県知事の措置命令をめぐる動き

記事年月 2021年4月-6月
号数 91
媒体 国内
大分類 【A-3.習俗・慰霊】
国名 日本
トピック
タイトル *沖縄遺骨土砂問題、意見書の提出と県知事の措置命令をめぐる動き
本文  沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設の埋め立てに沖縄戦犠牲者の遺骨が含まれる土砂が使われることへの反対運動をめぐって新たな動きがあった。4月1日、沖縄の13の市町村議会で遺骨の混じった土砂を埋め立てに使わないよう国に求める意見書が可決されていたことがわかった(赤旗4/3)。同15日には、同県議会でも同趣旨の意見書が全会一致で可決された。ただし、同意見書には防衛省の土砂採取計画や「辺野古」という地名は明記されなかった(毎日・東京4/16)。
同16日、玉城デニー同県知事は業者に対して自然公園法に基づく必要な措置を命令すると発表。遺骨は風景の一部として保護対象とされた。措置命令は5月14日までに業者の意見を聞く期間を経た上で正式に発令とされたが、市民の求めていた開発の全面禁止は法制度上の限界として見送られることとなった(沖縄タイムス・那覇4/16、4/17)。
これに対し、反対してきた市民や戦没者家族の間には失望の声が広がった。「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんは「残念を通り越して憤りを感じる」とし、戦争被害者の遺骨の救済に繋がる法律の早急な整備を訴えた(沖縄タイムス・那覇4/17)。また同17日には反対する市民らによってオンラインシンポジウムの開催、同21日には市民団体による国会内での防衛・厚生労働省への直訴など反対運動が展開された(東京・東京4/18、沖縄タイムス・那覇4/22)。
しかし5月14日に下された知事による正式な措置命令では、採取前に戦没者の遺骨の有無を確認すること、採取区域に近接する慰霊碑周辺の風景に影響を与えないよう措置を取ること、そして措置を県に報告し、協議することなどが盛り込まれた(東京・東京5/15)。この決定以降も、同15日の同県糸満市の戦没者を慰霊する「魂魄(こんぱく)の塔」前での市民と宗教者による抗議集会、6月19日から23日までの具志堅さんらによるハンガーストライキなど、引き続き土砂採取禁止に向けての反対運動が展開された(赤旗5/16、6/18)。
→『ラーク便り』90号30頁参照
『ラーク便り』データベースの検索ページに戻る